捜査の適法性を確保することは、検察官の重大な責務ですが、そこを踏み外してしまったにもかかわらず起訴猶予というのは、安易に過ぎ、悪い前例を作ってしまったと感じます。/落合洋司弁護士

http://www.asahi.com/articles/ASG277H8KG27UTIL051.html

地検によると、この検事は昨年12月ごろ、振り込め詐欺事件で警視庁が逮捕した容疑者のメールを閲覧した。検事は「捜査のためにメールの内容を確認しようとした」と説明しているが、相手の承諾などを得ずにアカウントにアクセスしていたという。容疑者の処分を決裁する際、捜査報告書などによって発覚した。

刑事訴訟法上は、「任意捜査の限界」として論じられる場面ですが、こうした不正アクセスは法律で禁止されている行為で(処罰規定もあり)、アクセスにつき被疑者の同意を得たり、あるいは令状を取得することも十分可能で、任意捜査として適法視することは困難でしょう。

こうした違法捜査をしない、させないこと、捜査の適法性を確保することは、検察官の重大な責務ですが、そこを踏み外してしまったにもかかわらず起訴猶予というのは、安易に過ぎ、悪い前例を作ってしまったと感じます。低額であっても罰金刑に処する、また、懲戒処分もされていないようですが、きちんと懲戒処分もしてけじめをつける、ということでないと、警察等への示しもつかないでしょう。

法秩序というものは、このようにして弛緩し崩れて行く、ということを感じるものがあります。

引用:2014-02-10 – 弁護士 落合洋司 (東京弁護士会) の 「日々是好日」

不正アクセスしてて起訴猶予になった検事は、懲戒処分もなかったということか。違法捜査はやったもん勝ちだな。/落合洋司弁護士

検事が不正アクセスして起訴猶予、懲戒処分もなしでは、違法捜査はばれなければやりたい放題、ばれてもせいぜいこの程度で済むと、満天下に宣言したようなものだろう。/落合洋司弁護士

正当化できない−−元検事で犯行声明メールを受け取った落合洋司弁護士の話/落合洋司弁護士

◇正当化できない−−元検事で犯行声明メールを受け取った落合洋司弁護士の話

 不正アクセスは、ネット社会では他人の家に忍び込むことと同じ行為。朝日新聞の主張は「家の扉が開いていたから中に入ってよいと思った」と言っているようなもので、社会通念上無理がある。真犯人のメールからはアクセスを承諾する意図は読み取れず、公表を望んでいたから不正アクセスも許されるという論理は飛躍している。取材目的とはいえ、正当化はできない。

引用:ネット殺人予告:PC遠隔操作 不正アクセス容疑、朝日・共同記者を書類送検 識者の話- 毎日jp(毎日新聞)

“=========== Meta ============
“StrID : 1467
“Title : 正当化できない−−元検事で犯行声明メールを受け取った落合洋司弁護士の話/落合洋司弁護士
“Cats : 社会・世相・時代の参考情報,弁護士
“Tags : 落合洋司弁護士(東京弁護士会),,PC遠隔操作事件,不正アクセス
“========== Content ==========

取材の必要性大−−大石泰彦・青山学院大教授(メディア倫理法制)の話/ネット殺人予告:PC遠隔操作 不正アクセス容疑、朝日・共同記者を書類送検 識者の話- 毎日jp(毎日新聞)

◇取材の必要性大−−大石泰彦・青山学院大教授(メディア倫理法制)の話

 誤認逮捕者を出す失態を演じた今回のケースでは、捜査機関とは別に、メディアが真相を探る役割は重く、取材報道の必要性は大きい。捜査の支障などがない限り、取材は当然だ。朝日新聞の主張には、説得力があり、メディア倫理上も問われることはない。警視庁が不正アクセス禁止法を形式的に解釈し、書類送検したことは知る権利とのバランスを欠いた権力行使ではないか。

引用:ネット殺人予告:PC遠隔操作 不正アクセス容疑、朝日・共同記者を書類送検 識者の話- 毎日jp(毎日新聞)

“=========== Meta ============
“StrID : 1468
“Title : 取材の必要性大−−大石泰彦・青山学院大教授(メディア倫理法制)の話/ネット殺人予告:PC遠隔操作 不正アクセス容疑、朝日・共同記者を書類送検 識者の話- 毎日jp(毎日新聞)
“Cats : 社会・世相・時代の参考情報
“Tags : 不正アクセス,,PC遠隔操作事件,メディア,取材,報道
“========== Content ==========