幼稚な正義感に基づいて「額に汗しないで儲けている」堀江氏や村上氏を摘発し ようという検察の筋書きが、この事件の背景にあった。

懲役2年半の実刑判決を受けて服役していた旧ライブドアの堀江貴文元社長が3月27日朝、収監先の長野刑務所から仮釈放された。とりあえずおめでとうと言いたいが、この事件は彼個人の問題を超えて日本経済に大きなダメージを与えた。

 ライブドア事件の起こった2006年ごろには、小泉政権の下で日本の資本市場でも動きが出ていたのだが、この事件後の村上ファンド事件などで企業買収を犯罪のように考える風潮が強まり、資本市場の改革も止まってしまった。それ以来の歳月は、日本資本主義の「失われた7年」だった。
ライブドア事件で資本市場は死んだ

 ライブドア事件で問われた粉飾決算は53億円と、2000億円を超えたカネボウなどに比べれば粉飾決算としては小規模であり、組織的犯罪でもなく悪質性も低い。それが実刑になった量刑の不自然さもさることながら、企業グループ内部の利益処分で刑事罰に問われたという事実が、多くの企業に恐怖を与えた。

 しかも当初は「暴力団がらみの大規模な犯罪」とか「海外まで含めたマネーロンダリング」などが取り沙汰されたが、結果的にはそういう事実は何も出てこなかった。当時の東京地検特捜部の大鶴基成部長は、事件を摘発した動機を次のように語っていた。

額に汗して働いている人々や働こうにもリストラされて職を失っている人たち、法令を遵守して経済活動を行っている企業などが、出し抜かれ、不公正がまかり通る社会にしてはならないのです。

 このような幼稚な正義感に基づいて「額に汗しないで儲けている」堀江氏や村上氏を摘発しようという検察の筋書きが、この事件の背景にあった。その結果として企業買収はほとんどなくなり、多くの企業が買収防衛策を定款で定め、日本の資本市場は死んだ。

引用:ライブドア事件と日本資本主義の「失われた7年」 日本経済に新陳代謝の復活を

広告

Twitter / amneris84: 検察は「被告人の主張に耳を傾け、冷静かつ多角的に証拠の評価を …

Twitter / amneris84: 検察は「被告人の主張に耳を傾け、冷静かつ多角的に証拠の評価を …

“初心を忘れず、初心に返ろう~この無罪判決が意味するもの(江川 紹子) – 個人 – Yahoo!ニュース” – http://bylines.news.yahoo.co.jp/egawashoko/20130301-00023691/

検事の無責任、無能をさらけ出す以外の何物でもありません。OBとしてほんと恥 ずかしいです<元検弁護士のつぶやき>

ちょっと信じられないですが

起訴状へのクレーム・質問は起訴検事に言ってください。 ←「奥村弁護士の見解」から

 これを読んでびっくりしました。

訴因特定について、裁判所から疑問が出て、弁護人からは特定のアイデアを出しているのに対して、公判立会検事の台詞。

だそうです。

 公判立会検事というのは、裁判を担当する検事で、東京、大阪などの大都市の検察庁では起訴検事と別の検事が担当します。
 そして公判立会検事は、警察や起訴検事に仮に不手際があったとしてもそれを全部引き受けて適正な判決に向けた公判活動を行う責任があります。

 検察庁の執務室で愚痴を言うのはかまいませんが、法廷で裁判官や弁護士の目の前で、「起訴状へのクレーム・質問は起訴検事に言ってください。」などというのは、公判立会検事の無責任、無能をさらけ出す以外の何物でもありません。
 OBとしてほんと恥ずかしいです。

 奥村先生があきれられたのはよくわかりますしそれは当然のことですが、裁判官がどんな反応を示されたのか興味があります。
 私としては、その検事を思いっ切り叱責していただきたかったと思います。

 「それならあなたはもう法廷に来なくていい。次回からは起訴検事に立会してもらいたい。」

くらいのことは言ってほしいです。

 この件については落合先生もコメントしておられまして、屋上屋を重ねるきらいがありますが、今日、一期先輩の検事に野暮用で電話したところ、私のブログを見ていると言ってましたので、既に若手を指導する立場にある先輩検事にも知ってもらいたく書かせていただきました。
モトケン (2005年12月22日 16:37) | コメント(5) | トラックバック(1) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)
トラックバック(1)
hirono_hideki 日暮途遠 – [告発事件]平成4年江村正之検察官の冒頭陳述要旨 (2005年12月24日 21:06)

 デジカメで全部写そうと思ったのですが、文字が正確に判別できるような写りは12枚中1枚程度です。したがって、本文は、現物を見ながら、テキスト文字入力するこ… 続きを読む

引用:ちょっと信じられないですが – 元検弁護士のつぶやき

送信者 元検弁護士のつぶやき

送信者 元検弁護士のつぶやき

公訴の取消をするのが検察の名誉を守る、というかこれ以上傷つけない唯一の道 かもしれません<元検弁護士のつぶやき>

鹿児島県警自白強要事件(その3)

被告全員が無罪主張、捜査巡り訴訟も 鹿児島県議選違反(asahi.com 2006年01月06日17時29分)

 朝日新聞が相当強い関心を寄せているようです。
 既にザ・スクープで既報ではないかというご意見もあるようですが、徹底的に明らかにして報道してほしい問題です。

検察の起訴は妥当だったか?

 起訴は2003年の何月ころかはっきりしませんが、同年7月ころに第1回公判があったようです。

検察は4回の会合の日を特定していなかったが、弁護側が再三求め、昨年7月に2回分を特定した。

 「会合の日」というのは、つまり買収金授受の日ということなんでしょうね。
 検察は、このような大事な日付を約1年も特定しなかった、ということは特定できなかったのでしょう。
 つまり、特定できる証拠が起訴時点でなかったと思われます。

 はっきり言って、これでよく起訴したもんだ、というのが正直な感想です。
 アンビリーバボーと言ってもいいです。
 そして、ようやく2回分を特定したと思ったら

その2回分について、弁護側は公判で、中山被告が同窓会などに出席していたアリバイを明らかにしている。

 何をかいわんや、ですね。
 検察として、これほどみっともない事件はそうはないと思います。
 この記事は、「ちょっと変だよ、最近の検察」カテゴリにも登録することにします。

踏み字問題

「お父さんはそういう息子に育てた覚えはない」「早く正直なおじいちゃんになって」  03年4月中旬、志布志署の取調室。任意の取り調べ中、ホテル経営の男性(60)=買収容疑で逮捕、起訴猶予=の足元に並べられた用紙3枚に、そんな文言があった。  書いたのは県警の警部補。男性の両足首をつかみ、無理やり紙を踏ませたという。男性は自白を強要され、「精神的、肉体的苦痛を受けた」として、1年後、県に200万円の損害賠償を求める訴訟を同地裁に起こした。

 取調べ技術として敢えて言えば、極めて稚拙と言うべきでしょうが、これは立派な精神的拷問です。
 取調べの体をなしていません。

 そして件の警部補は

05年11月の証人尋問で「真摯(しん・し)に反省し、取り調べに応じて欲しかった」と述べ「1回置いた」と主張した。

 「1回置いた」というのは、被疑者の足を紙の上に「置いた」ということなんでしょうね。

 「そんな事実は一切ありません。」と完全否定するよりは可愛げがありますが、これは当時の被疑者の方の話をそのまま認めるべき証言でしょう。
 そして言うにことかいて、「真摯に反省し、取り調べに応じて欲しかった」などとは、あきれかえってしまいます。

 私が取調室で被疑者からこんな言い訳を聞いたら、懲戒覚悟で、「お前、なめとんのか。」と言ってしまいそうです。

 岡村先生が言われるように、公訴の取消をするのが検察の名誉を守る、というかこれ以上傷つけない唯一の道かもしれません。

接見状況の調書化

 報道を引用しますと

国賠訴訟弁護団によると、03年4~8月に被告と警察署などで接見した20人以上の弁護士とのやり取りが調書化された。総数は県警と地検合わせて75通にも及ぶ。 これまでの弁論で、国・県は「供述の変遷を明らかにするために、接見内容の調書を取ることは当然行うべき捜査だ」と主張。一方、増田博団長は「接見内容が筒抜けの状態になれば、適正な刑事弁護はできない。これを組織的に行っており、非常に悪質だ」と指摘している。

ということですが、弁護団の主張が、取調べで接見状況を聞くことが問題なのか、それを調書化することが問題なのかはっきりしません。たぶん両方を問題にしているのだろうと思います。

 一般論として、捜査官が被疑者と弁護士との接見状況を聞いたり調書化することが、直ちに又は当然に違法になると言えるかどうかよくわかりません。

 私が、検事として取調べをしていたときは、取調べ状況が弁護士に筒抜けになることは当然のことと思っていましたし、弁護士になってからも、その感覚の延長として、接見状況が被疑者の口から刑事や検事に伝わることは想定内のことと考えています。
 
 但し、本件に関する限り、弁護士を排除する目的のもとに接見状況を聞いている疑いがありますので、違法と判断される可能性が十分あると思います。
 
続報がありますので一緒に書いておきます。

当時の捜査員から聞き取り 鹿児島県議選違反事件(asahi.com 2006年01月06日17時33分)

鹿児島県警が同県議選に絡む公選法違反事件の捜査で、選挙区内の男性に架空の供述を強要し、うその自白調書を作成していた問題で、県警は6日、事件に携わった当時の捜査2課員らから聞き取りによる事実確認を始めた。捜査1課と警務部などが行う。

 聞き取りの結果をどう発表するつもりなんでしょう。
 
    違法な取調べは確認できなかった。

とでも言うのでしょうか。
 それとも

    自白強要の事実があった。

と認めるのでしょうか。
 どっちにしても県警の信頼回復はできないでしょう。
 「違法な取調べは確認できなかった。」といっても誰も信じないでしょうし、認めたら認めたで「やっぱりか」ということになるだけでしょうから。

 ともかく、このような聞き取りをしなければならないほど、鹿児島県警が追い詰められていることは間違いないようです。
 身から出た錆びとしか言いようがありません。
モトケン (2006年1月 6日 18:34) | コメント(2) | トラックバック(1) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)

引用:鹿児島県警自白強要事件(その3) – 元検弁護士のつぶやき

送信者 元検弁護士のつぶやき

送信者 元検弁護士のつぶやき

送信者 元検弁護士のつぶやき

送信者 元検弁護士のつぶやき

送信者 元検弁護士のつぶやき

佐賀地検は県民の信頼を失い、警察からも馬鹿にされる結果になったことは確実 <元検弁護士のつぶやき>

最低の検察独自捜査(改定版)

 先のエントリで引用させていただいたwillwin さんのブログ「株は世につれ」に検察の証拠隠しが問題になっている「佐賀市農協事件」と「布川事件」について、鳥越俊太郎の「ザ・スクープ」が紹介されていましたので、動画ファイルを見てみました。
 ここでは、検察が警察抜きで独自に捜査した「佐賀市農協事件」について感想を述べてみたいと思います。

 事案は、佐賀市農協が不正融資をしたということで、当時の組合長ら3人が起訴されたというもののようです(西日本新聞の記事)。

 「ザ・スクープ」では、不正融資の存在自体については何も触れていませんでしたが、問題になるのは以下の点です。

 まず、「融資」の事実の存否が問題になりますが、これが立証されていないなどとは考えられません。
 次に、それが農協に損害を与えるような「不正な」融資であったかどうかが問題になりますが、この点については情報がありません。一審で有罪になった人がいますから、証拠としてはあるのでしょう。
 しかし、起訴された3人のうち、組合長は一審無罪(高裁で無罪確定)、元金融部長に懲役1年6月、執行猶予3年(高裁で無罪)、元共済部長に背任ほう助罪で懲役8月、執行猶予2年(一審確定)というものであり、一審確定の元共済部長の刑は公判請求事案として軽すぎることからすると、仮に不正融資と言えるとしても、裁判所から見るとたいした事案でなかったことが伺われます。
 そして一審有罪確定の元金融部長も、執行猶予2年ということで控訴を諦めた可能性が高く、もし控訴していたら高裁無罪の可能性はかなり高かったのではないかと推測されます。

 仮に、不正な融資が行われたとして、最後に問題になるのは、「誰が」不正融資を行ったかですが、起訴された3人のうち、二人は無罪となり、元金融部長の関与も怪しいとなると、結局検察は完敗です。

 「ザ・スクープ」を見る限り、本件の捜査の端緒は告発のようですが、検察は告発状の内容を鵜呑みにしてストーリーを作り上げ、関係者の手帳などのいの一番に確認すべき物証の確認を怠ってアリバイ捜査をせずに共謀の日時場所を特定し、恫喝をもって虚偽自白を強要し、そのような自白に基づいて起訴したあげく、問題が生じてからあわててアリバイ捜査をして検察に不利な証拠を押収しながらそれを隠そうとする(最後には公判に提出)など、基本からはずれまくった捜査をしています。
 虚偽自白の強要については密室の中のできごとですが、検察が取り調べ検事を処分していることから、最高検は少なくとも恫喝的取調べは認めたものと考えていいでしょう。

 まったくひどい捜査です。
 容疑者を逮捕した後でも、その弁解を虚心坦懐に聞いていれば、こんな結果にはならなかったでしょう。
 最初から起訴ありき、だったように思われます。
 そうだとすると、そんなものは捜査ではありません。
 容疑者の身柄を拘束するということに対する感覚の麻痺も感じられます。

 最も重要な問題は、なぜ検察がこのような捜査を行ったかです。
 「ザ・スクープ」では、捜査の現場責任者でかつ元組合長の取調べ検事である三席検事を実名で槍玉にあげていましたが、検察が他庁の応援を得て(「ザ・スクープ」による)独自捜査をするとなると、三席検事の一存でできることではありませんから、検察庁幹部の意向が強く働いていたことは容易に想像できます。
 
 その意味では、私は組織人としての三席検事に若干の同情の念を感じてしまいます。検事としては失格というべきですが。
 この事件の主たる責任は、検察幹部が負うべきものと考えます。
 検察幹部がどういうつもりで本件に着手したかは推測の域を出ませんが(一つの濃厚な可能性は推測できますが)、佐賀地検は県民の信頼を失い、警察からも馬鹿にされる結果になったことは確実です。

 この関係で、鳥越氏に一言いいたいのですが(後でもう一言いいますが)、鳥越氏は「ザ・スクープ」の中で取調べの可視化に関連し、マスコミは取調べ等に関与した捜査官や捜査幹部(次席検事や検事正)の実名を公表すべしと述べていました。
 私は思わずつぶやいてしまいました。

 だったら、あなたが真っ先に公表すればいいでしょう、あなたもマスコミ人でしょう。

と。
 「ザ・スクープ」で実名(と映像・顔写真)が公表されたのは三席検事だけでした。

 ついでに鳥越氏にもう一言。
 今朝の朝のワイドショーで、鳥越氏が渡辺恒雄氏と対談していたのですが、日米同盟のことが問題になり、渡辺氏が、「日米同盟がなければ北朝鮮が脅しをかけたりしてくる」(若干不正確)と発言したのに対し、鳥越氏は「日米同盟があっても拉致事件は起こった。日米同盟は何の役にも立っていない。」(かなり正確のはず)と応えていました。
 こういうオールオアナッシングの発想の人はいまいち信頼できません。
 もっとも、渡辺氏も「日米同盟についてはアメリカと日本の国益が完全に合致する」などと言っていましたので二人とも五十歩百歩だと思いますが。

訂正にあたっての追記
 本エントリの当初において、本件捜査にあたって検事正と検事長の下世話な動機の可能性について言及しましたが、どうもそうではないようです。
 当時の検事正と検事長の名誉を不当に傷つけた記述をしてしまったことにつきまして、訂正と謝罪をいたします。
 しかし、その上で敢えて組織の最高責任者としての検事正及び検事長の責任は軽くないと申し上げます。
 本件の捜査は、裁判状況等に関する報道からほぼ確実に推知し得る範囲におきまして、あまりにもお粗末です。
 実はこのことが捜査の現場からやや距離がある検事正や検事長の意向を邪推した理由の一つなのですが、検事正や検事長としては、まず第一に現場が暴走しないように監督する責任があります。
 そしてさらに言えば、現場の捜査が筋違いであったことが明白になった場合には、直ちに方針転換をする職責があり、そのための度量が求められると思うのです。
 本件のアリバイ捜査の顛末はその観点から見てはなはだ遺憾です。
 
 落合弁護士がブログで詳細に解説されていますが、本件捜査は筋を読み違ったものと思われます。
 そのことによって佐賀地検は深手を負ったわけですが、それが明らかになった後の検察の対応は、その傷をさらに深めたものといえます。
 その責任はといえば、それは庁の長たる者の判断にあると言わざるを得ないでしょう。
モトケン (2006年5月 3日 15:57) | トラックバック(2) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)

引用:最低の検察独自捜査(改定版) – 元検弁護士のつぶやき

送信者 元検弁護士のつぶやき

送信者 元検弁護士のつぶやき

送信者 元検弁護士のつぶやき

送信者 元検弁護士のつぶやき

この事件の主たる責任は、検察幹部が負うべきものと考えます<元検弁護士のつ ぶやき>

最低の検察独自捜査(改定版)

 先のエントリで引用させていただいたwillwin さんのブログ「株は世につれ」に検察の証拠隠しが問題になっている「佐賀市農協事件」と「布川事件」について、鳥越俊太郎の「ザ・スクープ」が紹介されていましたので、動画ファイルを見てみました。
 ここでは、検察が警察抜きで独自に捜査した「佐賀市農協事件」について感想を述べてみたいと思います。

 事案は、佐賀市農協が不正融資をしたということで、当時の組合長ら3人が起訴されたというもののようです(西日本新聞の記事)。

 「ザ・スクープ」では、不正融資の存在自体については何も触れていませんでしたが、問題になるのは以下の点です。

 まず、「融資」の事実の存否が問題になりますが、これが立証されていないなどとは考えられません。
 次に、それが農協に損害を与えるような「不正な」融資であったかどうかが問題になりますが、この点については情報がありません。一審で有罪になった人がいますから、証拠としてはあるのでしょう。
 しかし、起訴された3人のうち、組合長は一審無罪(高裁で無罪確定)、元金融部長に懲役1年6月、執行猶予3年(高裁で無罪)、元共済部長に背任ほう助罪で懲役8月、執行猶予2年(一審確定)というものであり、一審確定の元共済部長の刑は公判請求事案として軽すぎることからすると、仮に不正融資と言えるとしても、裁判所から見るとたいした事案でなかったことが伺われます。
 そして一審有罪確定の元金融部長も、執行猶予2年ということで控訴を諦めた可能性が高く、もし控訴していたら高裁無罪の可能性はかなり高かったのではないかと推測されます。

 仮に、不正な融資が行われたとして、最後に問題になるのは、「誰が」不正融資を行ったかですが、起訴された3人のうち、二人は無罪となり、元金融部長の関与も怪しいとなると、結局検察は完敗です。

 「ザ・スクープ」を見る限り、本件の捜査の端緒は告発のようですが、検察は告発状の内容を鵜呑みにしてストーリーを作り上げ、関係者の手帳などのいの一番に確認すべき物証の確認を怠ってアリバイ捜査をせずに共謀の日時場所を特定し、恫喝をもって虚偽自白を強要し、そのような自白に基づいて起訴したあげく、問題が生じてからあわててアリバイ捜査をして検察に不利な証拠を押収しながらそれを隠そうとする(最後には公判に提出)など、基本からはずれまくった捜査をしています。
 虚偽自白の強要については密室の中のできごとですが、検察が取り調べ検事を処分していることから、最高検は少なくとも恫喝的取調べは認めたものと考えていいでしょう。

 まったくひどい捜査です。
 容疑者を逮捕した後でも、その弁解を虚心坦懐に聞いていれば、こんな結果にはならなかったでしょう。
 最初から起訴ありき、だったように思われます。
 そうだとすると、そんなものは捜査ではありません。
 容疑者の身柄を拘束するということに対する感覚の麻痺も感じられます。

 最も重要な問題は、なぜ検察がこのような捜査を行ったかです。
 「ザ・スクープ」では、捜査の現場責任者でかつ元組合長の取調べ検事である三席検事を実名で槍玉にあげていましたが、検察が他庁の応援を得て(「ザ・スクープ」による)独自捜査をするとなると、三席検事の一存でできることではありませんから、検察庁幹部の意向が強く働いていたことは容易に想像できます。
 
 その意味では、私は組織人としての三席検事に若干の同情の念を感じてしまいます。検事としては失格というべきですが。
 この事件の主たる責任は、検察幹部が負うべきものと考えます。
 検察幹部がどういうつもりで本件に着手したかは推測の域を出ませんが(一つの濃厚な可能性は推測できますが)、佐賀地検は県民の信頼を失い、警察からも馬鹿にされる結果になったことは確実です。

 この関係で、鳥越氏に一言いいたいのですが(後でもう一言いいますが)、鳥越氏は「ザ・スクープ」の中で取調べの可視化に関連し、マスコミは取調べ等に関与した捜査官や捜査幹部(次席検事や検事正)の実名を公表すべしと述べていました。
 私は思わずつぶやいてしまいました。

 だったら、あなたが真っ先に公表すればいいでしょう、あなたもマスコミ人でしょう。

と。
 「ザ・スクープ」で実名(と映像・顔写真)が公表されたのは三席検事だけでした。

 ついでに鳥越氏にもう一言。
 今朝の朝のワイドショーで、鳥越氏が渡辺恒雄氏と対談していたのですが、日米同盟のことが問題になり、渡辺氏が、「日米同盟がなければ北朝鮮が脅しをかけたりしてくる」(若干不正確)と発言したのに対し、鳥越氏は「日米同盟があっても拉致事件は起こった。日米同盟は何の役にも立っていない。」(かなり正確のはず)と応えていました。
 こういうオールオアナッシングの発想の人はいまいち信頼できません。
 もっとも、渡辺氏も「日米同盟についてはアメリカと日本の国益が完全に合致する」などと言っていましたので二人とも五十歩百歩だと思いますが。

訂正にあたっての追記
 本エントリの当初において、本件捜査にあたって検事正と検事長の下世話な動機の可能性について言及しましたが、どうもそうではないようです。
 当時の検事正と検事長の名誉を不当に傷つけた記述をしてしまったことにつきまして、訂正と謝罪をいたします。
 しかし、その上で敢えて組織の最高責任者としての検事正及び検事長の責任は軽くないと申し上げます。
 本件の捜査は、裁判状況等に関する報道からほぼ確実に推知し得る範囲におきまして、あまりにもお粗末です。
 実はこのことが捜査の現場からやや距離がある検事正や検事長の意向を邪推した理由の一つなのですが、検事正や検事長としては、まず第一に現場が暴走しないように監督する責任があります。
 そしてさらに言えば、現場の捜査が筋違いであったことが明白になった場合には、直ちに方針転換をする職責があり、そのための度量が求められると思うのです。
 本件のアリバイ捜査の顛末はその観点から見てはなはだ遺憾です。
 
 落合弁護士がブログで詳細に解説されていますが、本件捜査は筋を読み違ったものと思われます。
 そのことによって佐賀地検は深手を負ったわけですが、それが明らかになった後の検察の対応は、その傷をさらに深めたものといえます。
 その責任はといえば、それは庁の長たる者の判断にあると言わざるを得ないでしょう。
モトケン (2006年5月 3日 15:57) | トラックバック(2) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)

引用:最低の検察独自捜査(改定版) – 元検弁護士のつぶやき

送信者 元検弁護士のつぶやき

送信者 元検弁護士のつぶやき

送信者 元検弁護士のつぶやき

送信者 元検弁護士のつぶやき

即刻検察から去っていただきたい<元検弁護士のつぶやき>

反省なき検察(富山冤罪事件)

<富山冤罪事件>「取調官恨まない」地検が男性から調書(落合ブログ経由 5月28日20時17分配信 毎日新聞)

 富山県警が男性の誤認逮捕を発表したのは、今年1月19日。弁護団によると、その後の同24日、男性は富山地検で、検察官から無罪を証明するための調書を取ると説明を受けた。検察官は県警の捜査員や同地検支部の副検事の実名を挙げ、男性に「恨むか、恨まないか」と質問。男性は無実の強姦事件で取り調べを受けた際の威圧的な態度を思い出し、「恨みません」と答えた。検察官は、その言葉を盛り込んだ調書を朗読し、男性は調書に押印、署名したという。

 こういう姑息なことを、平検事の独断でするとは思えません。

 なんでこんな調書を作ったのかよく分かりませんが、いや大体分かりますので「姑息」と書いたのですが、まったく恥知らずなことです。

 落合弁護士は捜査当時の取り調べについて問題にされているようですが、私は問題発覚後にこのような調書を作成する富山地検の浅はかさを問題にしたいです(落合弁護士のコメントにもそれは滲んでいますが)。

 落合弁護士が指摘した国家賠償請求についての思惑はもちろん、言い訳、保身、体面の取り繕いなどの意図が思い浮かんできます。

 しかし、こんな調書で言い訳、保身、体面の取り繕いになると思っていること自体、どうしようもなく浅はかです。
 自らの恥の上塗りだけでなく、冤罪に苦しんだ男性をさらに傷つけることになることが分からないのでしょうか。
 結局、富山地検は現在なお反省していない、と言わざるを得ません。

 こんな調書の作成を指示したのが誰かは知りませんが、即刻検察から去っていただきたい。

 このニュースの情報ソースは冤罪男性の話のようですが、地検の次席が否定しないところからすると、事実と考えられます。
 もしそんな調書を取った事実がないならば、検察の名誉と信頼のために明確に否定すべきだからです。
モトケン (2007年5月29日 20:20) | コメント(15) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)

引用:反省なき検察(富山冤罪事件) – 元検弁護士のつぶやき

送信者 元検弁護士のつぶやき

送信者 元検弁護士のつぶやき