マスコミの報道に触発された市民感情を正当化の根拠とするような懲戒扇動が頻 発<元検弁護士のつぶやき>

刑事弁護士をもっと

冤罪防止 “刑事弁護士”をもっと(中日新聞社説 ウェブ魚拓 ボツネタ経由)

 裁判員裁判の実施、被疑者国選弁護の拡大を前に、「刑事に強い」弁護士の大量育成が急がれる。冤罪(えんざい)防止のためには、使命感はもとより、豊かな知識と弁護技術を兼ね備えた弁護士が必要だ。

 私が、橋下弁護士による懲戒扇動問題を強く批判している大きな理由はここにあります。
 豊かな知識と弁護技術を兼ね備えた弁護士は一朝一夕には養成できません。
 刑事弁護に熱意をもって取り組む若手弁護士の絶対数が必要です。

 弁護活動に対する被疑者、被告人の不満はしばしば聞く。日弁連は重く受け止め、弁護活動を客観的にチェックしなければならない。

 個々の事件の弁護活動の当否を判断するのはとても難しいのですが、富山県の強姦冤罪事件などを見ますと、問題のある弁護活動の検証作業は必要であろうと思われます。

 しかし、弁護活動に対する批判・検討は、被害者側に偏った不十分な情報に基づく感情的な批判であってはならないと考えます。
 その意味で、マスコミの報道に触発された市民感情を正当化の根拠とするような懲戒扇動が頻発するような事態が生じるとすれば、弁護活動に対する正当な批判・評価を妨げることになるばかりでなく、刑事弁護に対する無理解と誤解を助長し、これから刑事弁護に取り組んでみようとする若手弁護士の意欲を大きく減殺する結果になることを強く危惧するのです。

 冤罪を1件でも減らすためには、世間の批判を一身に浴びるかのような被告人にこそ、刑事弁護が最も有効に機能すべきであると思います。

 但し、私は弁護人のマスコミ対応が不十分であることをもって懲戒理由と考えることには強く反対しますが、裁判員制度を視野に入れた弁護技術としてマスコミ対策の重要性が増加していることは事実であると感じています。
 その点については別に述べてみたいと思います。
モトケン (2007年10月31日 01:11) | コメント(53) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)

引用:刑事弁護士をもっと – 元検弁護士のつぶやき

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あらためて橋下弁護士の懲戒扇動の罪の大きさを感じます<元検弁護士のつぶやき>

橋下弁護士の懲戒請求350人 (続報追記)

市民ら350人、橋下弁護士の懲戒請求へ 光市事件(asahi.com 2007年12月16日08時01分 ウェブ魚拓)

 既に別エントリのコメント欄で議論されてますが、あらためて紹介しておきます。

追記

橋下氏に懲戒処分を 市民342人が大阪弁護士会に請求(asahi.com 2007年12月17日 ウェブ魚拓)
340人が橋下氏の懲戒処分を請求(産経ニュース ウェブ魚拓)

関係者によると、賛同する市民らが9月以降、知人に声をかけるなどして広がったという。(asahi.com)

 このとおりであるとすると、必ずしも府知事選に対する影響を目的とした懲戒請求ではないかも知れませんが、橋下弁護士自身が

「特定の集団が懲戒請求したならば、政治活動への重大な挑戦で悪質だ」(asahi.com) 「特定の弁護士が主導して府知事選への出馬を表明した時期に懲戒請求したのなら、私の政治活動に対する重大な挑戦であり、刑事弁護人の正義のみを絶対視する狂信的な行為」(産経)

と(報道内容は微妙に違いますが)コメントしているように、選挙に対する何らかの効果を狙ったのではないかと憶測する人が多いのではないかと想像されます。

 今回懲戒請求をした人たちの真意はともかく、そのように感じる人が多いということは、今後の選挙において弁護士が立候補した場合において、弁護士である候補者に対する攻撃手段として懲戒制度を利用しようとする人間が生じる可能性が高まったことは事実ではないかと思われます。

 そしてその原因を作ったのは、橋下弁護士に他ならないと考えざるを得ません。

 今回の懲戒請求が、17日にまとめて提出されたのかどうかは必ずしも明確ではありませんが(記事によればそう読めます)、橋下弁護士のテレビ発言以前には、直接的な利害関係のない多数の集団が特定の弁護士の懲戒を請求をするということは誰も思いつかなかったのではないかと思います。

 今後さらに弁護士の活動領域は増えていくと思われますが、その領域のほとんどは利害関係の対立するいわば修羅場への介入だと思われますので、当然対立する個人または陣営が存在する場合が多く、対立当事者らが多数の懲戒請求を行って弁護士に対抗しようとすることが予想されます。
 そうなるとその反動として、請求された弁護士から請求者に対する損害賠償請求さらには刑事告訴を行う場合が増えてくるかも知れません。

 このような事態は、紛争を無用に紛糾・複雑化させるものであり(つまり泥仕合になる)、懲戒制度の濫用が懸念されるところです。

 あらためて橋下弁護士の懲戒扇動の罪の大きさを感じます。
 そしてその罪は、橋下弁護士自身が多数の懲戒請求を受けたからと言っていささかも減じるものではないと考えます。

「・・・私の政治活動に対する重大な挑戦であり、刑事弁護人の正義のみを絶対視する狂信的な行為」とコメントした。

 じゃあ、あんたの懲戒扇動発言はなんだったんだよ、と言いたいところです。
モトケン (2007年12月18日 00:22) | コメント(96) | トラックバック(5) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)

引用:橋下弁護士の懲戒請求350人 (続報追記) – 元検弁護士のつぶやき

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「被告の権利を守るため、やむを得ず欠席したもので、引き延ばしなどの不当な目的はなかった」という点は理解<元検弁護士のつぶやき>

安田弁護士懲戒せず

光市母子殺害事件の安田弁護士懲戒せず…第2東京弁護士会(2007年12月22日3時6分 読売新聞)

 関係者によると、第2東京弁護士会の綱紀委員会は「模擬裁判のリハーサルと重なることを欠席の理由の一つにしたのは妥当ではなかった」としながらも、「被告の権利を守るため、やむを得ず欠席したもので、引き延ばしなどの不当な目的はなかった」と議決。これを受け、同弁護士会は懲戒せずの決定を下した。

 いずれもっと詳細なソースが明らかになると思いますが、上記の範囲で言えば

 「模擬裁判のリハーサルと重なることを欠席の理由の一つにしたのは妥当ではなかった」というのは全くそのとおりで、リハーサルを欠席の理由としてあげたことがこれを聞いた多くの人に重大な誤解を生じさせ問題を複雑化させたと思います。
 今年のワーストKY発言です。

 私も現時点では「被告の権利を守るため、やむを得ず欠席したもので、引き延ばしなどの不当な目的はなかった」という点は理解することができます。
 最高裁が死刑を自判する可能性がたとえわずかでもあったとすれば(事実上はほとんどなかったと思いますが)、被告人の主張を尽くす機会を確保するためという主張は理解できますし、少なくとも差戻審の審理を見る限り安田弁護士が主導している弁護団に訴訟引き伸ばしの姿勢はまったく認められません。

 但し、「刑事裁判と被告人の納得(光市母子殺害事件から)」で既に述べていますが、被告人の主張・弁解については、最高裁にいくまでに、つまり1審や控訴審で出し尽くし審理を尽くしていなければならなかったはずです。
 まあ、結果論の部分もあり、1、2審の弁護人の弁護方針がその時点において間違った判断だったと断言はできませんが、1、2審の弁護方針に起因する問題を安田弁護士の責任として問うことは的外れなところがあると思います。

 がしかし、ドタキャンを回避することは不可能ではなかったのではないかという思いは残っています。
 そして、できればドタキャンはしてほしくなかったという思いが強いです。
 ドタキャンによって、いわゆる世間の刑事弁護に対する(誤った)印象が強くなったのは事実であると思いますので。
モトケン (2007年12月22日 10:46) | コメント(16) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)

引用:安田弁護士懲戒せず – 元検弁護士のつぶやき

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