男性裁判員(53)が「密室の水掛け論にならないよう、取り調べの全過程を録 音・録画すればいい>」と語るなど、全員が取り調べの可視化の必要性を説い た。

毎日新聞 2013年02月01日 21時58分(最終更新 02月01日 23時09分)

 京都府八幡市で11年8月、スーパー駐車場の車から女性の遺体が見つかった事件で、交際相手に暴行し死なせたなどとして、傷害致死と死体遺棄の罪に問われた岐阜県瑞浪市、無職、長沼勇也被告(24)の裁判員裁判の判決が1日、京都地裁であった。市川太志裁判長は傷害致死罪を無罪とし、死体遺棄罪だけを有罪と認定、懲役1年6月、執行猶予4年(求刑・懲役7年)を言い渡した。

 長沼被告は11年6月、交際中の日比野茜さん(当時34歳)=同市=をホテル浴室で数回突き倒して頭蓋(ずがい)内出血で死なせ、遺体を約2カ月間、車内に放置した、として起訴された。弁護側は公判で、日比野さんを突き倒したことは認めたが、死亡との因果関係を否定し、傷害致死罪の無罪を主張していた。

 判決は「浴室で暴行し、日比野さんが頭を打った」などとする捜査段階の供述調書について、内容が変遷し、取り調べ時のメモも破棄されていると指摘、信用性に疑問が残ると判断した。

 そのうえで、「ホテルに入る前、別れ話から日比野さんが走行中の車から飛び降りて頭を打った」とする弁護側の主張を否定する証拠もないと指摘。「暴行以前の負傷が死因の可能性を否定できない」と傷害致死罪は成立しないと結論付けた。

 京都地検の中田和範次席検事は「上級庁とも協議の上、適切に対応したい」とコメントした。

 判決後、裁判員6人全員が記者会見し、男性裁判員(53)が「密室の水掛け論にならないよう、取り調べの全過程を録音・録画すればいい」と語るなど、全員が取り調べの可視化の必要性を説いた。

 取り調べメモをめぐっては、最高裁が証拠開示の対象と判断している。京都府警は「供述調書に同じ内容を転記した場合、紛失防止などの観点からメモは破棄していいと指導している」としている。【田辺佑介】

京都遺体:傷害致死は無罪、死体遺棄は有罪判決- 毎日jp(毎日新聞)

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